クライストチャーチ2日目、バルーン飛行が風で中止になり、することもないので馬にでも乗ろうか、という軽いノリだった。
乗馬のアクティビティを申し込み、連れて行かれた先は古びた農家。
はだしの子供が馬の足元の間をぬって、台を運んだりしてお手伝いをしている。
なんだかパンフレットのイメージとはかけ離れているなぁ、と思いつつも、馬に乗せてもらう。
いきなり視界がとんでもなく高くなる。
足を無理やり輪ッかにかけ、鞍に張り付いたとたん、出発になった。
見る所もない松林の間をぽっくりぽっくりと無言の一行が続く。完全に歩いた方が早い。
時折、わたしの馬が道端の草を食べるので、そのたびにわたしはずり落ちそうになる。必死でしがみついていたら、突然、上を向き、ブルルンといななき、首を振り上げた。
わたしは悲鳴をあげ、体は鞍からずり落ち、足はむなしく宙を舞った。 腕の力でかろうじて鞍にぶら下がり、ムチャクチャな勢いで鞍の上によじ登った時には怒りと後悔で、顔がひきつっていた。
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