早朝薄暗い中、どでかい扇風機とガスバーナーを使い、私たち17名全員で 手分けしながらバルーンをふくらませる。横向きだったかごが縦向きになって 浮かび始め、慌てて押し込まれるようにかごの中に乗り込む。 「I promise you can see the blue sky.」 操縦士は陽気な声でそう言ったが、どんよりとした雲の中に突入し、 雲の粒子が頬をなでるばかりで視界はゼロだ。
ガァーガァーと時折バーナーに点火し、バルーンは更にふわりふわりと上昇していく。 ふいに、雲が途切れた。瞬間、操縦士が約束した通り、目の前には真青な空と、 オレンジ色にサンサンと輝く巨大な太陽が迫っていて、思わず息を飲む。 まばゆいばかりの太陽に照らし出された青空と、下界の雲と、 万年雪を頂いた360度の連峰のパノラマ! この世のものとは思えない景色だ。 帰りはバルーンの高度を下げ、羊や牛たちを驚かせ、走り回る様を見ながら ニュージーランドの広大な牧場の上空からバルーンの「空の散歩」を楽しんだ。 後日談です。 「バルーンに乗るなんてすごい勇気だわねぇって話してたんですよ」とひと足早く NZから戻っていた知人に言われた。海にバルーンが落ち、大騒ぎになってから ひと月も経っていなかった時期に私はバルーンに乗ってしまったのである(^_^;)。 事件を知っていれば、もっとスリルが味わえたのに!と強がりな事を書いておこう。 次は 2 ローラインとの想い出
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