2016.5.13〜5.18
No.3
平安の王朝時代を彷彿させる優雅な葵祭「路頭の儀(ろとうのぎ)」(2016.5.15)
葵祭(あおいまつり)は京都三大祭のひとつ。京都御所(きょうとごしょ)を出て、下鴨神社(しもがもじんじゃ)、上賀茂神社(かもがもじんじゃ)と8キロにも及ぶ道のりを、総勢500名以上の約800mの平安貴族の装束をした行列「路頭の儀」が続く。
行列は、勅使代(ちょくしだい)を中心にした本列と、斎王代(さいおうだい)を中心とした女人列(にょにんれつ)の斎王代列とに分けられ、今回、2016年の葵祭を、建礼門(けんれいもん)を背にした京都御所(きょうとごしょ)と、上賀茂神社(かみがもじんじゃ)近くの、緑の林道の賀茂街道の2か所で存分に眺めて来た
2016年葵祭 京都御所で観た本列
建礼門を後ろに控え、ザクザクザクッと玉砂利を踏みしめながら、赤い飾りをつけた牛の曳く「御所車(ごしょぐるま)」の牛車(ぎっしゃ)が刻々と迫る。牛の綱を引く、赤い衣を着た小さな牛童(うしわらわ)の姿が愛らしい。本来は天皇の使いである勅使(ちょくし)の乗る車であったが、現在は勅使は馬に乗って、登場する
従者(じゅうしゃ)が、警護の役をつかさどる山城使い(やましろづかい)の所用品を携えて歩く。黒い鳥帽子(えぼうし)の後ろに、葵祭のシンボル・桂の木の小枝と二葉葵の葉を組み合せた飾りをつけている
行列を先導する乗尻(のりじり)。両頬に扇のように突っ張った黒い飾りは「おいかけ」と呼ばれる
軒に藤の花を飾った牛車(ぎっしゃ)と、所用品をたずさえた一行の中にぽつんといた神妙な童(わらわ)(^^)
「源氏物語」で、光源氏が務めたという「近衛使代(このえづかいだい)」は、この行列の中で、最も位が高い人。馬に銀面がついているので見つけやすい
風流傘(ふりゅうがさ)の行列の一行。風流傘は、取物舎人(とりものとねり)の4人で時折、持ち手を交代しながら、進む。この風流傘は、牡丹(ぼたん)やカキツバタの造花で飾りつけられて、行列の中でも、ひときわ目立つ
本列の結びとなるのは、おそらく黄色の山吹(やまぶき)で飾り付けられた風流傘の一行
2016年葵祭の一番人気の「斎王代(さいおうだい)」の行列(2016.5.13)
本来の葵祭のメインは本列なのだが、やはり斎王代(さいおうだい)を中心とした女人たちの斎王代列のほうが、平安時代の女性の雅(みやび)な衣装が引き立っていて、華やかだ。
高級高官の命婦(みょうぶ)たちは、華麗な衣装・小袿(こうちき)に身を包み、裾からオレンジ色の「打袴(うちばかま)」がのぞかせて花傘に守られながら進む
風流傘には、アヤメなど、色とりどりの造花
童女(わらわめ)たちに取り囲まれながら、斎王代(さいおうだい)の乗る「腰興(およよ)」と呼ばれる御輿(みこし)が少しずつ近づいてくる。斎王代の顔のアップを写すべく、一眼レフを構えるわたしの緊張もピークに。
平安時代の斎王は、内親王(ないしんのう)から選ばれていたが、現在は、市民の中から未婚の女性が選ばれ、「斎王代」となる。2016年の斎王代は、京漆器の老舗「象彦(ぞうひこ)」の長女・西村和香さん26歳。斎王代にかかる費用は軽く2000万ほどというから、半端じゃない(^_^;)
斎王代の着る十二単(じゅうにひとえ)の裾(すそ)が、御輿(みこし)の端にきれいに揃えられている。これを「出衣(いだしぎぬ)」と言い、高貴な人の姿を裾で見せるという京の奥ゆかしさの現れかもしれない
斎王代の顔の横には、糸状の髪飾り「白陰鬢(ひかげかずら 日陰糸(ひかげいと)とも言う)」が下がっている。着ている十二単(じゅうにひとえ)の重さはなんと30キロ。着付は二人がかりで3時間近くもかかるそうだ
采女(さいじょ)の小袖は青海波文様。斎王代と似た髪形で、髪はおすべらかしで、額の両側には日陰糸(ひかげのいと)の飾り。着用している着物は、古代の神事服だそうだ
斎王付きの巫女(みかんこ)は馬に乗って参向するため、騎女(むなのりおんな)と呼ばれる。騎女は6人
再度、風流傘の一行が通り過ぎると、命婦(みょうぶ)と共に、牛車を後ろに控えた、赤い衣の「蔵人所陪従(くろうどどころべいじゅう)」が見えて来る
斎王代列(さいおうだいれつ)の牛車(ぎっしゃ)の軒にぶら下がる藤の色はほのかなピンク色。ギシギシと重くきしむ車輪の音を残して、牛車が通り過ぎて行く。牛車を見送り、大急ぎへ次なる会場の上賀茂神社へ向かう
京都御所の場所取りについて
京都御所の場所取りのため、朝6時に起床。午前8時すぎには、京都御所へ到着(葵祭の開始は10時半)。早くも、建礼門を正面に観ることができる一番よい場所(境町御門より左へちょっと行ったところ)には、報道陣や観客が陣取っている。他の場所なら、最前列に座れるが、三脚もあったので、建礼門が正面に見える2列目の席に腰を下ろす。偶然にも、タイ人の女性とおしゃべりが始まって、2時間半は、あっという間に過ぎてしまった
◆nabeさんのUチューブ 「京都御所の葵祭の『路頭の儀』」(2016.5.15)
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