2024/1/16-2/19 南米&南極&クルーズ&マチュピチュ35日間の個人旅行

 9.氷河に囲まれた南極の三日間

一日以上をかけ、世界で最も荒れるドレーク海峡を通過し、
南極の「ハーフ・ムーン島」「パラダイス湾」「デセプション島」の3島を間近に巡ってきた。

目の前で何頭ものクジラが潮を吹き、尾をひるがえして海へもぐる。
ペンギンがぴょんぴょん跳ねながら泳いでいた。

日本のおよそ37倍の、世界で5番目に大きな大陸「南極」。
その大陸の95%を巨大な氷河が覆っている。

大きな氷山が波に浸食されるまま、ただよっていた。
時折、砕けた小さな氷河の粒が海面に集まり、不思議な帯となった。
少しずつ消えゆく氷河を見つめてきた
1.氷河との対面 2024/2/2-2/4
ドレーク海峡は「絶叫する60度(Shrieking Sixties 南緯60度))」と言われるほど、最も荒れる海域として知られている。実際、クルーズ船では倒れる人もいたほど、船酔いするゲストが続出した。ところで、1月は南極の真夏。2月初めはまだまだ夏のはずだったが、外気は平均0℃前後と寒さは厳しかった。なだれのような氷河が出現すると、たくさん着込んだゲストたちが続々とデッキに集まって来た
氷河にはさまざまな表情がある。こちらは雲と同化しそうなぐらい真っ白ななだらかな氷河の山。見上げるほどに高い。ひたすら氷河の姿を眺める。ため息ばかりがこぼれた
その白い氷河の先端には無数の亀裂が入り、崩壊した断面は荒々しい。影は本来、薄暗い存在なのに、透き通った美しいブルー色は亀裂から飛び出して、光を放っていた
「ハーフ・ムーン・アイランド」。南極の青空を出し惜しみするかのように、白い雲が張り出していた
湾の中に入って、しばらくすると、オーシャニア・マリーナの大きな船体が旋回し始める。デッキに立っているだけで360度、変化に富んだ氷河をぐるりと見渡すことができた
穏やかな湾の中でオーシャニア・マリーナが停泊する。雲の合間から差し込む日差しで海面がキラキラと光り出す
まさか南極で雲の合間から青空が顔を出すとは思っていなかった。でも、やっぱり寒いには寒い(^_^;)。帽子やフードをかぶっていないと、耳から先に凍えていく
さすがのオーシャニア。さっそくあたたかいコーヒーサービスが始まった。わたしたちも頂いたが、あたたかいコーヒーは、かじかんだ手や冷え切った身体をじわじわと温めてくれた
寒さが我慢できなくなった時は14階のガラス張りのサンルームから氷河をのぞいた。写真を撮る時だけ、ガラス窓を開けて、慌てて閉じればもう突き刺すような冷たい風は入ってこない(^_^;)
山々の背後から山よりも大きな巨大な氷河がなだれ込む。実は「ハーフ・ムーン・アイランド」では隣のグレゴリー氷河や、遠くウェッテル海からも巨大な氷河が流れてくるそうだ
14Fの甲板でも、16Fのアクティビティスペースでも、一周すれば納得できる。クルーズ船は見事にぐるりと氷河に囲まれていた
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クルーズ船「オーシャニア・マリーナ」をぐるりと囲む氷河
2.アルゼンチンの基地「アルミランテ・ブラウン基地」 2024/2/2-2/5 
財政難で今は夏だけ利用するアルゼンチンの基地「アルミランテ・ブラウン基地」。オレンジ(赤)の建物が特徴。なだれ込んだ巨大な氷河が行き場を失い、海に落下する。そのもぎとられた氷河の断面が荒々しかった
「アルミランテ・ブラウン基地」の先にある山の谷間を押しつぶすほどの巨大な氷河。「巨大な氷河」・・・それ以外の言葉が見つからない。次第にもくもくと暗い雲が立ち込めて来る
ついに辺り一面、かすみ始めた。「アルミランテ・ブラウン基地」前の、まるで船のような大きな氷山が気になっていた。海面に出ているのは氷山の一部。となると、一体どれほど大きな氷の塊を海の中に隠しているのだろう
3.さまよう氷山 2024/2/2-2/5 
オーシャニア・マリーナと同じぐらいに巨大な氷山と出会う。まるでスパッと切ったような切り口が不思議だった。自然が作る不可思議な造形美にしばし目を奪われる
沖合に、まるでコンクリートのような不思議な塊の巨大な氷山を見つけた。左にはミニサイズのものもある。これは、「テーブル型氷山」と呼ばれるもので、「棚氷(たなごおり)」が割れてできた氷山。では、「棚氷」はどのようにできるかというと、陸の上にあった氷床(ひょうしょう)が海に滑り落ち、その後、海上に押し戻されると、てっぺんが真ったいらの「棚氷(たなごおり)」ができる。その棚氷が割れて、海へ流れ出すと、「テーブル型氷山」と呼ばれるそうだ。テーブル型といっても、大きい物は数キロにも及ぶ。高さは30から50mもあるそうだ。きっと近づいたら、たまげるサイズなのだろう(^_^;)
尖った山の尖端から先に氷河は流れ落ちるのだろうか。海面には、もぎ取られた氷河のデコボコな断面がのぞく。だからか、この一帯には大小さまざまな氷山があちこちに浮かんでいた。氷山になったら、後はゆっくりと溶けるしかない
溶けるといえば、思い当たることがある。細かく砕けた氷河の粒が波にただよい、長くて不思議な白い帯を作っていた。オーシャニア・マリーナの船体にまとわりついていたので、窓越しにシャッターを押した。氷山が砕けて、小さな粒となり、溶けていくのだろう
太陽が海面を照らすと、海の色がガラリと変わる。氷山にくっきりとした明暗ができて、「白」が際立ち、何か崇高な気品さえただよう
どうしてこんな形になるのか、大きい氷山だけに異様に見える。カメラをのぞきながら、ペンギンが海から上がるのにちょうどよい高さかなと気づいた。今度は氷上にペンギンの姿を探す。いつのまにか、氷山を見つける=ペンギンを探す、のパターンができ上がった(^_^;)
船頭さんが乗ったゴンドラのような形の複雑な氷山。大きな座席にはまだ誰も乗っていない(^_^;)
光の加減なのだろうか、氷山が見事な氷河色(透き通った水色)に染まっていた。いや、氷河色が素晴らしかったから写したのだろう(^_^;)
4.あちこちにペンギン出現! 2024/2/2-2/5
一眼レフは南極の撮影のための必須品だった。南極巡りの3日間、常に持ち歩いた。デッキから海を眺めると、簡単にペンギンを見つけることができる。ペンギンはあちこちにいたが、全て尾羽が長いアデリーペンギンだった
氷上では身体を右左に揺らしながら、ヨチヨチ歩くペンギンだが、いざ海に入ると、大変身。メチャクチャ泳ぎが早い。たくさんのペンギンがピョンピョン飛びように泳ぐ様を望遠レンズで追うのは難しかった
この氷山の上にまたもペンギンたちの姿(^^)
アデリーペンギンの生息地は南極やその周辺の島々。全長およそ76センチほどと小さく、目の白いふちどりが特徴。オキアミなどを食べる。長い尾羽は遠くからでもよくわかる
アデリーペンギンは春の11月頃に巣作りをし、12月は抱卵をし、卵がかえる時期。1月・2月はペンギンの子育ての時期となり、ヒナたちはどんどんと成長し、2月下旬頃には親と同じくらいの大きさにまで成長する。3月、ヒナは巣立ちし、自分でエサを取るようになる
こちらは1人ぽっちのペンギン。尾羽が長いのがよくわかる。アデリーペンギンだ
こちらは「デセプション・アイランド」。蹄(ひづめ)に似た形の島で漁船が嵐などから避難する場所としても有名。またペンギンの繁殖地にもなっている。画像の中の白い点は実は全てペンギンたちの姿(^_^;)。この島には2013年の調査では、およそ4万羽のアデリーペンギンが生息していたそうだ
オーシャニア・マリーナには「ペンギン・ポリス」が数名乗船していて、ペンギンを記録するなど、保護活動をしている。ペンギンがいると、ゲストたちにペンギンの場所を教えてくれる。カッコよくて、優しいお兄さん(^_^;)
南極についての勉強会がマリーナ・ラウンジで開かれ、専門家の方たちの話を聴いた 記念写真はいつも敬遠するが、あの陽気な助さん格さんが強引に写してくれた(^_^;)
5.くじら、見放題! 2024/2/2-2/5
4頭のくじら発見!2頭が潮を吹き、2頭が背びれを見せている。今までに何度かホエールウォッチングを経験したが、4頭まとめて見たのは初めて。南極の1月、2月はエサとなるナンキョクオキアミが大量に発生するため、その豊富なエサを求めて、南極半島付近には体長15mのザトウクジラやミンククジラたちが集まるそうだ
氷山の合間を楽しそうに泳ぐ2頭のクジラ。クジラ探しは潮吹きと翻る尾びれを見つければ簡単
こちらは一人ぼっちのクジラ。クジラと氷山と流氷がまとまって写った貴重な一枚(^_^;)
大海原で悠然と泳ぐ2頭のクジラ。尾びれの大きさから、体長が大きいだろうなと想像する
6.南極えとせとら 2024/2/2-2/5
見事な夕焼けに出くわした。夕陽が放つオレンジの光が空を半分ほど埋め尽くしている。右端のテーブル型氷山がシルエットとなって浮かび上がっていた
ここは「デセプション・アイランド」。温泉が湧く南極でも珍しい活火山の島。趣きも他の南極の島とはかなり違う。氷河に覆われずに、むき出しのままの山肌が多い。昔、捕鯨基地として栄え、鯨油を貯蔵する大きな丸いタンクが名残りとして残っている(大きな茶色の円錐型のタンク)。1912年から1931年にかけ、鯨の加工基地として栄えたが、1961年の噴火により破壊されたという
漁なのか、観光船なのか、小さな帆船が氷河の海にポツンとたたずんでいた。南極では氷河や氷山以外は何もかもが小さく見える
オーシャニアからドレーク海峡を越えて南極を訪問した3日間の記念の証明書をいただいた。飾るにはちょっと大き過ぎる(^_^;)

次は 10.世界最南端の街「ウシュアイア」でペンギンやシーライオンのコロニーを見る

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