2024/1/16-2/19 南米&南極&クルーズ&マチュピチュ35日間の個人旅行

 8.フォークランド諸島の首都「ポート・スタンリー」を2人で探検

南大西洋の沖合に浮かぶフォークランド諸島は
東フォークランドと西フォークランドの2つの島を中心に776の島々から成り立っている。
領有権を争ったアルゼンチンとイギリスのフォークランド戦争では
アルゼンチンが破れ、今なお英国領のままになっている。
首都「ポート・スタンリー」の人々は戦争の傷跡をメモリアルとして大切に守り、
花をいっぱい咲かせて、静かな生活を送っている。
一年中、強風が吹く土地として、大きく傾いた木が有名だが、
なんと、わたしたちが訪問した日は風も吹かず、終始おだやかだった
1.静かな街「ポート・スタンリー」 2024/1/31
フォークランドの首都「ポート・スタンリー」に到着し、フリータイムの時は帰路に迷わないよう、いつものようにオーシャニアのタグボートの発着場所を写す。一年中、強風が吹く土地柄だから、セーターを着て、ふかぶかと帽子をかぶり、フード付きのコートを着て来た。しかし、この日のフォークランドは嘘のように風がなく穏やかで、青い空には白い雲がたなびいていた
他の観光客たちはタグボートから下りると、オプショナルツアーのバスへ散って行った。わたしたちはツアーに参加せず、自由に島を歩き回ることにした。辺りを見回してもざわめきはなく、静かな街だった。観光に出発するツアー車両や、数名の歩きのツーリストたちが行きかうだけだ。まずは観光スポットがある西をめざして歩き出す。あちこちにイギリス領であることを忍ばせるビクトリア調の建物が残っていて、立ち止まってはシャッターを押した。真っ先に現れた素敵な建物は「フォークランド保全の庭(Falkland Conservation Garden)」。この建物はフォークランドの保全と保護活動の拠点になっている
2.「クライスト・チャーチ・カテドラル」と「ホエール・ボーン・アーチ」 2024/1/31
ハーバーから歩き出して、すぐに「クライスト・チャーチ教会」が見えてくる。クジラのアゴの骨で作ったホエール・ボーン・アーチが特に目立つ。この2頭のクジラの顎の骨を使ったアーチはイギリス統治100年を記念して設置された。実は1886年に起きた地滑りのため、教会は全壊し、今の教会は1890-1892年に地元の石材とレンガを使って建設された教会だそうだ
地元のレンガと石を使って、建物を造り、天井にはどっしりとした木のアーチがのっていた。祭壇と信者の座る長椅子を区切る木製の飾り板が目を引く。日本の欄干のような透かし模様だ。木の天井や飾り板は、この地で木の文化が盛んだったことを伺わせた
木の文化が盛んということは、船造りが盛んだったのだろう。天井のアーチはちょっと船底に似ていた 壁のレンガは種類も様々。街じゅうからレンガを集めたのだろうと思うと、ぬくもりが感じられる。フォークランドの国旗は英国とフォークランドの紋章が配置されている
左画像は5つの鐘が一斉に鳴り響くという塔。
右画像はシロナガスクジラの2頭のあごの骨を使って造られたアーチ。ちょっと違和感があって、近くに寄って、じっと見つめる。なんだかセメントの作品のように見えるのはなぜだろう(^_^;)。フォークランドのクジラ漁業はすたれ、今はイカ漁業が重要な漁業になっている。イカの多くは日本に輸出されているそうだ。イカを食べる時、フォークランドを思い出すだろうなと思う
教会の隣には、並んだ出窓が可愛いスーパーマーケット。カフェやサロン、旅行会社など、いろいろなテナントが入っているようだ
3.対岸の文字は? 2024/1/31
スーパーから海のほうを眺めると、スタンリー・ハーバーを越えた先に対岸が迫っていた。地図を見ると、「Cortley Hill」らしい。その岩だらけの土地に白い文字がふたつ浮かんでいた。「BARRACOLITA」と「BEAGLE」。「BEAGLE」は「ビーグル水道」を指しているのだろう。「BARRACOUTA」を調べたら「オキサワラ」という魚のことのようだ。漁業が盛んだった頃の落書きなのだろうか
4.「勝利の庭(Victory Garden)」 2024/1/31
「勝利の庭」とは物々しい名前だが、広場に4台ほどの小さな大砲が置いてあるだけだった(^_^;)。しかもどうみても新しい(^_^;)。わたしはこのただ広いだけの広場より対岸の白い文字のほうが気になった
行く先々で庭でもない空き地に花が咲き乱れていた。フォークランドの夏は寒く、冬は更に厳しい寒さとなる。おまけに年間を通して強風が吹き荒れて、ほぼ曇り日ばかりだ。こんな土地で花を育てるのは手間がかかるだろうなと思う
5.白くてかわいい「ポリスステーション」 2024/1/31
ポリスステーションには見えない、白くてかわいい建物。Sがひっくり返ったりしている飾りは何を指しているのだろう(^_^;)
ポリスといえば、帰路、見慣れた制服姿のポリスを見つけた。わたしはサスペンス好きで緻密なストーリーで展開するイギリスのサスペンスが特に好きだ。帽子にあの独特な白黒の市松模様を見つけて、感動してしまう(^_^;)
6.赤がかわいい「フォークランド郵便局(POST OFFICE)」 2024/1/31
 
赤いポスト、赤い公衆電話、そして、赤い扉と赤いフェンス。赤が際立つ「フォークランド郵便局」。赤い郵便ポストが日本の昔のポストによく似ていた
7.フォークランド諸島の歴史を展示する「フォークランド博物館」 2024/1/31
フォークランド博物館は最初の入植者の生活やフォークランド諸島の歴史、自然環境などを展示している。地元住民が博物館を運営。わたしたちは行きと帰りの2度立ち寄った
かつての「ブラックスミスの店」を再現し、毛皮の鞍などの馬具や生活用品を展示
帰路、歩き疲れて、もう一度、フォークランド博物館に寄って、博物館の中にあるカフェ「ティーベリー(TEABERRY)」に行った。既に数組のお客さんがいたので、外のベンチに座ってコーヒーを飲んでいたら、空からポチポチと小さな雨粒が(^_^;)。慌てて、持参したレインコートを着る
8.斜めで頑張る木 2024/1/31
1年中、強風が吹くフォークランド諸島のポート・スタンレーで、斜めになりながらも頑張っている木「フラッグツリー(ねじれた木)」を見つけた。そして、この画像をチェックしている時、この木の前にあるブロンズ像に気づいた。拡大してのぞいてみたら、鉄の女「サッチャー」(^_^;)だった。わたしたちがハーバーから歩いたメイン通りはサッチャーにちなんで、「サッチャー通り(THATCHER DRIVE)」と名づけられていた。あちこちでここがイギリス領であることを思い知らされる。これが従属する側の定めなのだろう
9.「1982年の戦争の開放記念碑(1982 Liberation Monument)」 2024/1/31
150年間くすぶっていた不満がついに爆発し、イギリス領だったフォークランドを取り戻すために、アルゼンチンが駐在するイギリス軍に奇襲をかけて始まったのが「フォークランド戦争」だ。一旦はフォークランドを取り戻したアルゼンチンだったが、鉄の女サッチャーは大群のイギリス軍を送り、あえなくアルゼンチンは破れ、フォークランド諸島は再び英国領に戻った。実は現在もアルゼンチンとイギリスの間で領有権争いが続いている
ポート・スタンレーを訪問して、この街の人々がいかに花を大切にしているかを知った。元来、寒くて風も強く、曇り日ばかりの土地は草木にとって過酷なはず。でも、民家の庭先も、道の両側も、お墓も、特にメモリアルな場所にもたくさんの花々が咲き乱れていた。辛い過去を癒すのは花たちであることを住民の皆さんは知っているのかもしれない
10.「ロイヤル マリン記念碑(第一次世界大戦の海戦の記念碑)」 2024/1/31
第一次世界大戦の海戦についての記念碑。フォークランド諸島近海で行われた海戦で、イギリスはドイツ海軍を破って勝利を収めた
塔の最上部には、18世紀ごろの帆船の軍艦が君臨している
深紅の花のレイが飾られ、その横では白やピンクの花がきれいに咲いていた
11.「スタンリー総督府」 2024/1/31
こちらは「GOVERNMENT HOUSE STANLEY(スタンリー総督府)」。政府機関のはずなのに、いかめしさがなく、普通の建物のように見える。庭の手入れが見事だった
12.「ソーラーシステム ウォーク(Solar System Walk)」 2024/1/31
あんな所にソーラーシステム?南極条約領域内には35か所余りのソーラーシステム基地がある。残念ながらフォークランド諸島はその中に入っていない。つまり、中身のないソーラーシステムのお飾りだった(^_^;)
西へ向かっても、もう目ぼしい観光スポットはない。サッチャー通りを左折して、丘に向かうのもおもしろそうだったが、天気が怪しくなってきたので、この辺りで折り返すことにした
13.折り返し地点の沈没船 2024/1/31
スタンリー・ハーバーに浮かぶ沈没船の残骸にたくさんの海鳥が羽を休めていた。対岸に家が数軒見える。あんな何にもない土地でどうやって暮らすのだろうと思う(^_^;)。沈没船を写してから、タグボートの発着場まで戻り、今度は東の探検へ向かうことにした
14.東へ向かう 2024/1/31
沈没船の所で折り返し、まずは出発地点の「タグボートの発着場」まで向かったが、結構、道のりは遠かった。ただ、車道に沿ってコンクリートの歩道があるので、歩きやすい。小魚がいないかなと透き通った海をのぞき込むが、見事に一匹もいなかった(^_^;)。スタンリーに到着した時は青空だったのに、今はよどんだ雲が空全体を覆っている。実はこの曇り日こそがスタンリーの日常の姿なのだ
15.東側は自然がいっぱい 2024/1/31
タグボートの発着場を越えて、東へ向かうと、西側と違って、目ぼしいものがない(^_^;)。ポツポツと平屋があるだけで、ただひたすらテクテクと歩くだけだ。道端の黄色い花に目が奪われる
真っ黄色の花びらがかわいい。ネットで一生懸命探したが、この花の名前は判明しなかった
花を写して、東へ進んだら、いきなり原っぱに8羽ほどの大きな野鳥を発見。近づいても特に驚く様子はない。観光スポットがない分、自然が残されていて、彼らの憩いの場になっていた。一眼レフの望遠レンズを目いっぱい伸ばして、野鳥を写す
わたしの姿は見えているはずなのに、まるで気にする様子はない。手前の鳥はチャガシラコバシガンだ。胸の羽根の縞々模様が素晴らしい
小さな平屋の民家。その民家の後ろに、やはり風に敗けずに頑張っている木が立っていた
16.「スタンリー墓地」と「メモリアル・ウッド」 2024/1/31
静かなポート・スタンリーの街には多くの人が住んでいるようには見えないのに、お墓の多さに驚いてしまう。第一次大戦、第二次大戦、フォークランド戦争と立て続けに戦争に巻き込まれたフォークランドにはあちこちにたくさんの墓地がある。
黒いゲートの入口には「メモリアル ウッド(記念の森)」の文字。戦死した兵士ひとりに対して1本の木が植えられ、濃い緑の森ができ上がっていた。木には故人の想い出の品が飾られているという。ポート・スタンリーの街が静かなのはたくさんの人が眠る鎮魂の街だからかな、とふと思った
17.「犠牲の十字架(Cross of Sacrifice)」 2024/1/31
この「十字の塔」の階段のひとつひとつに赤い花を描いた丸い石が載っていた。この十字の後ろにもおびただしい数のお墓が並ぶ
一体、スタンリーにはどの位のお墓があるのだろうとため息がもれる
「犠牲の十字の塔」の下には赤いレイが何重にも重なっていて、風に吹き飛ばされないよう、丸い大きな石が載せられていた。レイの中にメッセージカードもある。まだ、鎮魂が続いていることを伺わせた
16.「ライトハウスの跡」探し 2024/1/31
実は東側に「ライトハウス(灯台)跡)」があると、どこかのネットで見つけたので、「ライトハウス跡」を探しながら歩いたが、見つからなかった。そこで、住民らしき女性に、「ライト ハウス(灯台)跡」のことを尋ねてみた。彼女は少し考えてから、「Over there」と後ろの道を指さす。どうも行き過ぎてしまったらしい。彼女はポート・スタンリーに来て、まだ〇年(何年だったか忘れてしまった(^_^;))とのことで、街の事は詳しくわからないと言う。「もう一度、探してみます」と彼女に言うと、「スタンリーでペンギンも見れますよ」と言う。思わず、「行きたい!どこにペンギンがいるんですか?」とペンギンの話に飛びつくと、「歩いては行けないの」と申し訳なさそうに言う。しばらく立ち話をしていたら、うっかり彼女の人懐っこい笑顔を写すのを忘れてしまった(^_^;)
せっかくなので、「Cortley・Hill」に架かる橋を写してから、来た道を戻ることにした
民家の庭先には寒さに強いジギタリスが群れるように咲いている。紫、ピンク、白と色とりどり。立派な温室もあるということは冬でも花をいっぱい育てるのだろう。この辺りでは立派な温室を備えたお宅が多かった
頑丈そうな温室には手入れの行き届いたお花がたくさん こんなところにカキツバタ?ネットで調べたら、耐寒性があるそうだ。ただ株が凍らないように注意が必要らしい
帰り道、やっと「ハウスライト」を見つけた。もっと大きなものを想像していたが、電柱よりも低いレンガ造りの灯台らしきものがあった。トラクターがあるところを見ると、灯台だけを残して、家のほうは取り壊してしまったようだ。海から続く砂利道は船を運び込んだ跡なのだろう。特に立て看板もなかったので通り過ぎてしまったらしい
実は「ライトハウスの跡」ではないかと疑ったのは、海から船を引き上げやすいよう斜めに造られた幅の広いコンクリート造りの跡を見つけたから。今は石や雑草があって昔の面影はなかったが、灯台をめざして漁から戻った船をこの引き上げ場から引き上げて、停留させたのではないかと思う
「ライトハウス」を見終えて、西に向かって歩くと、スタンリーのタグボート乗り場が近づいた。車は少ないながらも行き来していたが、住民の人とはほとんど出会わなかった
10.フォークランドのえとせとら 2024/1/31
ナンバープレートのあまりのシンプルさに思わず笑ってしまう(^_^;) 船の周りにびっしりとランプ(赤)が付いている。イカ釣り船らしい。名前は祥豪陸號、中国の船か
最初、気づいた時、ガーデングッズの飾り物だろうと思った。ふいに顏が横を向いたので、たまげる。黒ネコは行儀よく座ったまま、ずっと、わたしたちを見送ってくれた

次は 9.氷河に囲まれた南極の3日間

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