No.3 企業から見た日本の「国際森林年」の課題
10/25の国際森林記念会議に続き、日経の11/4付けの朝刊に、住友林業の会長矢野氏と、芯日本製鉄会長の三村氏による対談が掲載されていました。

「資源がない」といわれ続けた日本ですが、資源やエネルギー不足が指摘されている今、日本は、次の3点の資源に着目すべきだと書かれています。

1つは海底資源。世界6位の広さを持つ排他的経済水域にさまざまな資源が眠っているそうです。それらの海底資源の開発は日本の転機のひとつになってくれるかもしれません。

2つめは国内に2000ほどあるダムの上部をかさ上げし、貯水量を増やして水力発電の拡充を図っていくこと。

そして、3つめが、今回の課題でもある森林資源の問題でした。

今までは東南アジアなど後進国を中心に、安い木材が安易に伐採され、輸出されていましたが、今後は環境問題などの観点から、木材の輸出制限が強められ、将来は多くの国で木材が非常に不足するということが想定されるそうです。

一方、日本では安い木材に押され、林業が衰退した30年もの間に、日本中の木々が成長をとげ、木材の品質もよくなり、杉も檜もちょうど伐採に適した時期を迎えています。

国土の約7割が森林の日本。毎年約8000立方メートルの木々が成長しており、現在、木材利用などで伐採されているのは約半分の4000立方メートル。つまり、伐採してもなお、毎年半分以上の木材が成長している計算になります。現在の木材自給率は2009年度のデータによると、まだ27.8%に過ぎないそうです。

衰退している林業を国レベルで再生し、大規模化し、林道・作業道を整備し、意欲ある林業者を支援することが資源のない日本が世界に生き残るための重要なポイントとなる訳です。

今後、木材自給率を50%にすることができれば、25万人以上の雇用を生むことができるという試算もあるそうです。そして、10年後には、日本の林産物を輸出商品にすることができれば、木が日本の大切な資源になると書かれていました。

森林は二酸化炭素を吸収・固定し、空気をきれいにすると同時に、大きな保水力で、土砂災害などから日本の国土を守っています。また、伐採した木は100%利用することができるのも大切な要素となります。

木は、木造住宅の一部となり、木材チップは、バイオマス発電をするための燃料にもなります。

ただ日本の林業を再生するにはたくさんの大きな課題が山積みです。
でも、世界でもまれなほどに恵まれた森林資源を活用して、日本の産業として再生していくことは未来の日本の「再生」にも結びつくはずです。

ところで、アイビーネットでも書きましたが、今回のタイの大洪水は、最大の原因は平年の1.4倍という記録的な降雨が原因でしたが、人災が被害を拡大した面も大きいそうです。
その人災が、森林の過剰伐採による保水力の低下だそうです。

タイ政府の統計によると、60年代から80年代にかけての森林の減り方は目に余るものがあって、61年の国土の森林面積は53%だったものが、85年には、28%になっていたそうです。なんと、日本の国土の総面積の1/3もの緑が20年の間に失われてしまったことになります。

森林の過剰伐採は、外貨獲得のためのチーク材の乱伐と農地の乱開発によるもの。ようやく90年代にはいって、森の減少に歯止めがかかったものの、失われた森の再生には間に合わなかったようです。

今回のタイの洪水は、森林の過剰伐採に対する自然が放った警鐘です。
タイに続き、カンボジア、ミャンマーなどがタイのように森林の過剰伐採で恐ろしい勢いで森が消えているそうです。

木の需要が先進国だけではなく、途上国のタイや中国などが消費国となってきたことも大きな原因のひとつ。
また、自国の森林を守ろうとする結果、より貧しい国の森林の荒廃を引き起こしている面も否定できないそうです。

国連は今年を国際森林年と定め、森林の大切さと持続可能な利用の必要性を訴えてきました。
タイの洪水が浮き彫りにした保水力の問題だけではなく、森には二酸化炭素の吸収や、生物多様性の保全、美しい景観や豊かな地域文化の育成など、森林は地球の中で大きな役割を担っています。

世界の森林の減少・劣化をくいとめ、森林資源を活用することは、日本のみならず、世界中の国々の大きな課題と言えそうですね。
管元総理の突然のスピーチ
座談会でパネルディスカッションが始まる前に、5、6名のスーツ姿の男性陣が最前列の席へ着席。
それが管元総理でした。突然の参加らしく、出席者名簿には名前の記載はなく、パネルディスカッション終了後、いきなり紹介された管元総理は演壇に登っていって、臨時のスピーチが始まりました。

手があっちこっちをさまよい、態度に落ち着きが見られず、突然の指名に面食らった様子でしたが、マイクから流れる声は落ち着いていて、つつがなく、さすがに政治家は違うなぁと変なところで感心していました。

でも、内容は全然記憶に残ってません(^^;)。ま、重要なことを言った訳でもなく、単に林業の大切さや、これからみんなで力をあわせて、林業の再生に頑張りましょう、みたいな応援の言葉だったと思います。

ところで、この国際森林会議の講演会ですが、サラリーマンらしき人や熟年層の男性陣が圧倒的に多く、女性は一握りの参加でしたが、熱気があり、しばし学生気分で講演会を聴いていました。
番外編:日経ホールでおいしいランチ
お昼抜きで臨んだ講演会。夕方近くなってましたが、せっかくなので、日経ホール地下のモールで遅めのランチを食べてきました。
お店は自然回帰の「活菜厨房 然」。刺身定食(1800円)をオーダー(携帯で撮影)。


おお、厚切りの刺身ふた切れが4種類入っていて、肉じゃが、マカロニサラダなど、ボリュームも満点。厚切りのお刺身は、横に並ぶというより、縦に立ってます(^^;)。つい、「お刺身の切り方、大きいですねぇ」と店の人に声をかけると、「前はもっと大きかったんですよ」と笑ってました(^^)。

「夕方に仕入れたばっかりの魚だから、新鮮でしょ」とのこと。
ほおばると、おお、ハマチやタイのこれまたおいしいこと。もちろん、完食!また機会があったら、ぜひ寄ってみたいお店でした\(^o^)丿。

おわり

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