2022.6.29
No.7

過疎集落で挑戦の「デジタル村民」/新潟県山古志村

※画像はネットより拝借(以下同様)
日本はもちろん、世界でも初の「デジタル村民」が、実際の住民数を上回ったという記事を発見した。デジタル村民なんて、初めて聞く言葉だ。一体、どういうことなのかと、記事やネットでちょっと調べてみた。

「デジタル村民」というのは、実際の住民のことではなく、仮想空間上で「住民票」を持つ人たちのこと。デジタル技術を通して、デジタル村民となった人たちが、地域の課題などの解決のため、各アイデアを出し合って、高齢化が進む山古志村の新たな地方創生の力となって、地域を支えて行くという新たな試みなのだ。

2004年新潟県中越地震が襲った「山古志村」


2004年10月23日17時56分、新潟県中越地震が発生。マグネチュード6.8の直下型地震で、その震源に近い山古志村は断続的な余震に襲われ、人口約2100人の全村民が避難を余儀なくされ、ニュースでも大きく捕らえられたことを覚えている人も多いのでは、と思う。「山古志村」の名もこの時、広く知れ渡った。

震災から半年後の2005年、山古志村は長岡市に編入合併された。その間、「帰ろう山古志村へ」というキャッチフレーズを先頭に、避難所から移った仮設住宅でも集落単位で入居し、そこに村役場や農協の店舗、郵便局も移ってきて、村民たちの帰村への思いをつなげ、震災後8年を経た今も「山古志村」への思いが育まれているという。

デジタル住民とは?

 
上の画像は新潟の特産の鯉をあしらった「デジタルアート」。山古志住民会議が発行する、このデジタルアートを購入すると、デジタル住民になることができる。実際の住民という訳ではないが、日本人はもとより、英語圏や中国圏などの外国人のデジタル住民も増えているそうだ。

現在、山古志村の村民数は813人。デジタル住民は900人と、現住民数を越えた。デジタル村民を住民の一員とみなし、彼らのアイデアや資金を使って、リアルな山古志地域の課題解決につなげる試みが続けられている。過疎集落にとって、デジタル住民の力は新たな力強い希望の光だ。

2021年12月から始まった「仮想山古志プロジェクト」

「仮想山古志プロジェクト」の代表者によると、「デジタル村民」はいわば世界中にいる山古志応援団」だという。彼らに一定の予算や権限を与えて、継続的にかかわってもらうという。総務省の「過疎地域継続的発展支援交付金」も取得したほか、長岡市が公式パートナーとしても支えている。

山古志発祥の錦鯉を描いたデジタルアートの価格は、約1万5000円。このデジタルアートを購入すると、デジタル住民となることができる。このデジタル住民の発想に興味を持つ人は多く、デジタルアートを購入する人は後を絶たないそうだ。

2月には、デジタル住民から募った事業プランの中から実際の活動を選ぶ「山古志デジタル村民選挙」も開かれ、リアルとデジタルの住民をつなぐ場の形成や、写真で山古志の魅力を発信する取り組みなど、4つのプランが投票で選ばれたという。デジタルアートの売上の一部を財源に、現在プランが実行されている。

「仮想山古志プロジェクト」の代表者によると、「人口が減少する日本でパイの奪い合いをしても意味がない。必要なのは定住人口に囚われず、人口を「シェア」すること」だと訴えている。なるほど、初の斬新な考え方だ。

5月には、地元住民とデジタル村民の交流も行われ、「目には見えないが、山古志を支えようとしている仲間がいることを地域の高齢者に伝えていく」という。これからの山古志村の発展が、過疎化が急速に進む日本に、ひとつの大きな展望になれば、すごいことだなと思っている。


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