2017.7.1.
No.8

ミイラのDNA解析から明らかになったエジプト人の起源

最近になって、最新の〈DNAシークエンシング技術〉を使って、科学者たちがエジプトのミイラのDNA解析に成功したそうです。

ドイツのマックス・ブランク研究所とテューピンゲン大学、ニューヨーク大学の研究チームが93体のミイラのDNAを採取し、シークエンスしてDNAの解析をすることができました。

DNAとは、生物の遺伝子情報のほとんど全てを担う分子で、その遺伝情報を解析することで、人の起源を研究することができるのです。

まずはミイラについて
皆さんよくご存じの「ミイラ」。
生物が腐敗せずに乾燥し原形をとどめているもののことですが、偶然が重なって自然にできたものと、宗教上の理由jからわざわざ作ったものがあります。

自然にできたものとしては、5千年前の人物や、アルプスで見つかった「アイスマン」が有名です。また、現代でも何らかの理由で死体が腐敗しにくい環境で放置された結果、人のミイラが偶然にできてしまうこともあります。

意図的に作ったものとしては、エジプトのミイラがよく知られていますが、日本では中尊寺の即身仏や奥州藤原氏のもの、また「河童のミイラ」や「人魚のミイラ」などが伝説と共に寺などに保管されていたり、見世物にされている例が確認されています。
ちなみに、エジプトのミイラは茶色ですが、日本では黒色に仕上がるそうです。(@_@)

これまでは、エジプトのミイラから、顔の特徴や病気の痕跡、衣類やタトゥーを調べることはできましたが、遺伝子解析までは難しいとされていました。それは、DNAを採取すること自体が非常に困難だと考えられていたからです。ミイラにするため、高い温度と湿度、ミイラ化のために用いられた化学物質などがDNAを劣化させるからでした。

そのDNA採取を、DNAシークエンス技術が可能にしたのです。


研究目的は、外国勢の征服がエジプト住民にどんな遺伝子インパクトを与えたかどうかの解明

研究チームの目的は、アレクサンドロス大王やそのほかの外国勢力による征服が、エジプトの住民に対してどのような遺伝的インパクトを与えたかを解明することだったそうだ。研究チームは、カイロの南約100kmにある遺跡「アブシール・エル・メレク」に埋葬された、紀元前1400?紀元400年に生きた人々のミイラ151体のサンプルから、90のミトコンドリアゲノムと3つの核ゲノムのシークエンスに成功しました。

分析の結果、「アブシール・エル・メレク」の集団のDNAは、ほとんど変化していなかったことがわかったそうです。ギリシャ人やローマ人が及ぼした大きな影響にもかかわらず、古代エジプト住民には、ほとんど遺伝的変化が起きていなかったということがわかりました。

そして、研究チームは、もっと後になってエジプト人のゲノムが変化していることに注目しました。
サブサハラ(サハラ砂漠より南の地域)起源の遺伝子が、次第に増加していることを突き止めたのでした。

つまり、外国勢の征服が遺伝子インパクトを与えたのではなく、約1300年前に始まった奴隷交易を含む、ナイル川の通商の増加によって、エジプトの住民の遺伝子に変化が起きたことがわかったのです。

つまり、エジプト人の起源は?

約1300年前に始まった奴隷交易を含む、ナイル川の通商の増加によって、エジプト人の遺伝子が徐々に変化していきました。つまり、現代のエジプト人はサハラ以南のアフリカの人々と祖先をともにしていることがわかったのです。


現代エジプト人と、古代エジプト人の起源は違う?

現代のエジプト人が、サハラ以南のアフリカの人々の祖先と同じであることはわかりましたが、実は、現代エジプト人と古代エジプト人は、違うルーツではないかという説も証明されています。

古代エジプト人のDNAを新たに分析したところ、彼らはアフリカ人というより、現在のシリア、ヨルダン、イスラエルやレバノンであるかつてのレヴァント地方の人たちにもっとも近いことがわかったそうです。新石器時代のアナトリア半島(トルコ南部)やヨーロッパの人々に近いことがわかりました。

つまり、現代のエジプト人と古代エジプト人を比較すると、現代エジプト人は、古代エジプト人というより、サハラ以南のアフリカ人の先祖を共有していることがわかったのです。

昔は追及できなかったことが科学の進歩により、続々と研究できるようになりました。
ついでに、日本人の起源も調べてみました。

では、日本人の起源は?

日本人を形成したのは、日本列島が樺太経由で陸続きだったウルム氷河最寒冷期にアジア大陸から渡来した狩猟民(後期旧石器時代人で縄文人の根幹となった古モンゴロイド)と、弥生時代になって、朝鮮半島や中国南部から海をわたて渡来した農耕民(新モンゴロイド)だそうです。
また、祖先はユーラシア大陸東部より複数回にわたって渡来し、今の日本民族を形成していったそうです。

今回は、ミイラのDNA解析の新発見によるエジプト人の起源と、日本人の起源について、簡単に紹介しました。

追加:ミイラからの顔の復元に成功!(2017.7.6)

ところで、2017/7/6の朝刊に、「ミイラから顔復元」の記事を発見したので、記事の追加をしました(^^)。
この婦人は、「2005年にペルー北部トルヒヨ金工のエルブルホ遺跡で見つかった『カオの婦人』で、約1700年前の女性のミイラ。20代で出産の時に死亡したとみられ、腕や足などにヘビなどのイレズミをしているのが特徴だそうだ。

今回、リオデジャネイロの地元財団や米企業が協力し、3Dレーザースキャナーなどを駆使し、女性の顔を復元させたという。遺跡近くに住む現代の女性たちの顔写真なども参考にしたというが、約10か月かけて復元された、約1700年前のペルーの貴婦人の顔が実にリアルでびっくりしてしまった。

ミイラによって、またいろいろな発見が続くのだろうな、と期待している(^^)。


weekly top に戻る アイビーネットのtopページへ戻る